Friday, January 22, 2016

現地調査最終日―AITとSEI―

こんばんは。6回目のミカイです。



絶賛卒論執筆中のため、またしても日があいてしまいました。
今回が現地調査の最終回です。

バンコク2日目です。

この日(1月11日)はAITにて教鞭を執っていらっしゃり、メコンについてローカルレベルで活動していらっしゃる日下部先生と、RDMの概念を用いて様々な課題解決に取り組んでいるStockholm Environment Institute (SEI)にてミーティングを行いました!










まずは、AITの日下部先生とのミーティング。





もちろん左が日下部先生です。







今回の調査ではじめて日本語での議論でした。
英語だとこちらから説明する分には何回もやっていることなので
大丈夫なのですが、質問を受けてそれに答えるというやり取りの段階に入ると
なかなかに難しいものがあります。



幸いこれまでお会いした方は皆頭の回転が非常に速い人たちでしたので、
つたない言葉でもなんとか言いたいことを伝えることができていましたが、
やはりどうしても時間がかかってしまいます。



その点、今回は日本語でしたのでいつもよりもスムーズに議論することができました。
それでもところどころ日本語でどのように表現したらいいのかわからない部分があって、
英語ではこういうんだけど、日本語でなんて説明するんだろう??
というようなこともありました。


また、英語で表現しきれなかったものが日本語ならできるかというと
そういうわけでもなかったのです。
これはなかなかに面白い発見で、
思考と言語は相互作用ではなくて、思考の出力手段が言語であるだけで、
言語で思考しているわけではないのだなあと感じました。
つまり、説明しきれなかったことは思考の段階で不十分であり、
言語の巧拙の問題ではないということです。





本題とずれてしまいましたね。
そうはいっても、やはり母国語のほうが議論はスムーズで、
これまでにない意見をいただくことができました。


日下部先生はローカルなレベルでメコンに関わっている方なので、ある意味一番現状を知っている方でした。
やはり人間は自分の利益が最も大切ですので、
全体での利益が大きくなることよりも、自分が関係しているセクターへの影響がどうなのかということが大切です。



ダム開発の場合、受益者は都市部の人間で、損益を被るのは地方の人間という構図になることが多いそうです。
もちろんダム建設地周辺の住民への補償はありますが、その算定が不十分であったり、
そもそも補償を受けられないというケースもあるそうです。



私のツールでは流域全体での便益がいかに大きくなるかというレベルしか結果として表現していないのですが、
これをセクターごとに(例えば、農業・漁業・航行ごとに)その影響がどうなるのかを提示できるようにすれば、
少なくとも、大きな利益が出る分野から、損益が大きな分野に補償をまわすといった議論が可能になるというご意見をいただきました。



それはその通りだなと思いつつも、全てをひとつのシステムでまかなうことはできないので、
明確にターゲットを絞り、対象箇所ごとに適したシステムを構築し、それを連動させるような統合的なシステムも必要だなと感じました。





日下部先生はとても元気な方でした!












さて、日下部先生とのミーティング後はAITを離れ、バンコク市内に向かいました。
SEIはバンコク市内のどまんなかにあるチュラ大学というタイでトップの大学の敷地内にそのオフィスがあります。






このチュラ大学は、いうなれば日本で言う東大のような位置づけのトップ大学です。
それにもかかわらず(?)キャンパスは非常に広大で、しかもバンコク市の中心部にあるのです。
日本で言うなら、渋谷のど真ん中に東大の何倍もの敷地を保有しているというような状況です。



大学の目の前はこんな感じでした


校内の池です。



広大な敷地です。




バンコク市内についてからSEIのミーティングまで少し時間があったので、
このチュラ大学を散歩しました。




ここで驚いたのが、大学生が皆制服を着ているのです!!
こちらの感覚からしてみると中学生にしか見えません。
しかも、東大と同じように幼い感じの容姿の学生が多く、
いっそう中学生にしか見えませんでした。
(失礼にあたりそうなのでさすがに写真は撮れませんでした。)





大学生にもなって制服を着なければならないなんて、
ずっと私服校で育った筆者にとってはとても考えられないことです。
もし東大も制服だったらそれだけの理由で絶対に行かないでしょう。





それはともかく、キャンパスは非常に広大で、
のんびりとした空気が流れていて、
殺伐とした本郷キャンパスとはまったく雰囲気が違いました。
制服制度さえなければこんなところでのキャンパスライフも悪くないなと思いました。











暇をつぶし終えると、いよいよ最後のミーティング先であるSEIに向かいました。
そもそもこの研究でRDMの概念を取り入れるきっかけになったのも、
このSEIが出したレポートでした。

正確にいうと、SEIではRDMの概念を独自にアレンジし、RDS(Robust Decision Support)という形にしていました。
RDSではRDMに比べて、プロジェクトに対するステークホルダーの参与を重視し、参加型のワークショップを開くことで、鍵となる要素を抽出します。
そして抽出された要素における不確実性を考慮するために多くのシナリオを生成し、
脆弱性を分析します。





RDMに関する解釈が間違っていたらどうしようとか、
この研究にRDMを適用する意味がないとか言われたらどうしようかと思っていましたが、
非常によい評価を得ることができました。

ただ、グラフによる表現の仕方にはまだまだ改善の余地があることも指摘していただきました。
表現の仕方の例として、Heat Map と呼ばれる図を見せていただきました。



画像がよくなくてすみません。




横軸にパラメータ、縦軸にはシナリオなどを設定し、それらが構成するマトリックスの
セルの色で基準を満たしているかどうかを表現するというもので、
視覚的にすぐ理解することができ、とても参考になりました。






SEIには世界各国から集まった優秀な人材が働いており、
とても刺激的な空間でした。
国際NPOという生き方も一つの選択肢にあるなと思いました。





左から2番目の女性と4番目の男性はなんと東大出身(留学生)でした!







これにて今回の現地調査の全日程が終了しました。






計6回ものミーティングをこなしたことで、
鋼のメンタルを手に入れることできました。



何の根拠もありませんが、なんとなくどんなプレゼンでもどうにかできるような自信がつきました。
加えて、大切なのは自頭の思考力であり、表現ツールの巧拙ではないということも分かりました。

もちろん英語を流暢に話せるに越したことはありません。
しかし、中身のないことを流暢に話してもしかたありません。
むしろ、片言でもいいので、中身のあることをなんとか伝えるほうが大切です。
そのとき、形があることは本当に便利です。
目に見える形さえあれば、それがしっかりとしたものであれば、
賢い人たちはそれだけで理解してくれます。


まあそれに甘えていてはだめなので、これからもっとしっかりと
英語は勉強しますが!











最終回はやや真面目な内容でしたが、
このような機会を得ることができ、川崎先生をはじめお世話になった方々にはとても感謝しております。




また、川崎研究室に興味のある方は、是非コンタクトをとってください!!
とても素敵な経験をすることができると思います!




それではまたいつか。



P.S. メコンの名をもつタイのウィスキー!タイに行った際にはぜひお試しあれ!



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